小さな赤い魚の群れは、広い海を泳ぐのが怖くてたまりません。大きな魚に、いつ食べられてしまうか分からないからです。
そこへやってきた一匹の黒い魚が、こう呼びかけます。「みんなで集まって、一匹の大きな魚のふりをして泳ごう」と。
一匹一匹はとても小さく、弱い存在です。でも、集まって形を作り、それぞれの場所を守りながら一緒に泳ぐことで、大きな魚も怖くなくなります。
介護も、これとよく似ていると私たちは考えています。
一人で抱えると、不安になる
介護する家族も、介護を受けるご本人も、それを支える事業所や企業の担当者も、一人だけで向き合おうとすると、大きな不安に押しつぶされそうになります。
「この判断で合っているのだろうか」「誰にも相談できない」。そんな孤独感が、介護を一層苦しいものにしてしまいます。
でも、情報を共有し、意見を交わす。それを一度きりではなく、何度も何度も重ねていく。
そうすることで、少しずつ関係が結ばれ、安心して進んでいける「群れ」ができていきます。BanSow(伴走)という社名は、まさにこの「一緒に泳ぐ」という考え方から生まれました。
この視点を、それぞれの立場から見てみたいと思います。
介護する家族の方へ
最初の面談で「困っていることは特にない」とおっしゃる方は少なくありません。でも実際には、ご自身でも気づいていない負担を、一人で抱え込んでいることがよくあります。
一度の相談ですべてが解決しなくても構いません。日々の介護支援では、毎月の面談など、継続的に顔を合わせる機会を通して、情報を共有し、意見を交わしていきます。
それを繰り返す中で、少しずつ本音を話していただけるようになります。
一匹だけで泳ぐのではなく、私たちと一緒に群れをつくっていく。そのつもりで、遠慮なく話してみてください。
介護を受けるご本人へ
ケアプランは、一度作ったら固定されるものではありません。体調や気持ちの変化に合わせて、何度も話し合いながら見直していくものです。
「前に伝えたことと、今感じていることが違う」。そう思ったときは、遠慮なく伝えてください。
系列やしがらみに縛られず、本当に必要なサービスを組み合わせる。その繰り返しの対話こそが、ご本人らしい暮らしを守る群れをつくっていきます。
介護サービス事業所の方へ
多職種連携がうまくいくかどうかも、実は「一回の申し送り」ではなく、「関わり続ける関係」の中で決まってきます。
初回の担当者会議だけでは見えてこない利用者・ご家族の変化も、継続的なモニタリングを重ねる中でケアマネジャーが把握し、必要なタイミングで各事業所にフィードバックしていくことができます。
一つの事業所だけで抱え込むのではなく、顔の見える関係を何度も積み重ねること。それが、困難なケースにも向き合える、大きな一匹の魚のようなチームケアをつくります。
特定の系列に属さない独立型だからこそ、しがらみのない対等な立場で、その輪をつなぐことができます。
企業の担当者の方へ
以前、ある建設会社の人事部長から「社員が祖母の介護で遅刻が増えている」というご相談をいただきました。
介護休業制度の説明は、インターネットでも調べることができます。しかし、その社員の方が必要としていたのは、ケアプランそのものの見直しでした。
継続的に関わる中で、ご本人も気づいていなかった調整の余地が見えてきました。遅刻せずに介護と仕事を両立できる新しいケアプランを、一緒につくることができました。
介護に必要な情報や選択肢を知らずに、一人で抱え込んでしまうことがあります。
社員の方が会社に相談できないのには、いくつもの理由があります。
「相談しても解決しないだろう」「相談する時間がない」「会社に知られたくない」「昇格に影響するのでは」。こうした心理的なハードルは、一度きりの窓口対応では乗り越えられません。
一人で抱え込ませないための「群れ」を、会社の中にどうつくるか。私たちは、その仕組みづくりのパートナーとして力になりたいと考えています。
一匹では小さくて不安でも、何度も情報を交わし、関係を結んでいけば、安心して泳げる群れになれる。
それが、BanSow(伴走)が大切にしている考え方です。

